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<駒澤大高>今もOBが畏敬の念を抱く恩師の姿 『凡事徹底』を合言葉に【選手権出場校紹介】

2018.12.28

2年ぶり4回目の選手権出場となる駒澤大高 [写真]=野口岳彦

 3人のOBは、その人についてそれぞれこう語る。「僕は亀田先生に会って、それこそ人生が変わったと思っていますし、本当に心から尊敬しています」(須藤皓生)、「自分にとって亀田先生は今まで会ってきた先生の中で一番お世話になったというか、恩師と言ったらこの人というような存在です」(竹上有祥)、「亀田先生のことは間違いなく一番の恩師だと思っていますし、それはたぶん須藤さんも有祥さんも同じだと思います」(高橋勇夢)。2年ぶりに全国の舞台へ帰ってきた駒澤大学高。240人もの部員を束ねる大野祥司監督の側には、いつも亀田雄人先生の姿がある。

「あの人は駒高サッカー部のために生きているというか、メシを食いながら選手のボードをいじったりという目撃情報もあるので、たぶん時間も全部駒高サッカー部に費やしていて、私生活は捨てていると思うんですよ」。4年前にキャプテンを務めていた須藤皓生は、笑いながら当時を思い出す。

 忘れられない一言がある。「これは僕がキャプテンに決まった時に言われたことなんですけど、『組織はリーダー以上にはならない』と。それを言われて『なるほど』と気持ちが入ったというか、『僕がかなり良いキャプテンにならなければいけないし、どこまでも上に行かなきゃな』という気持ちになりましたね」。高校生に掛けるにはかなりハードルの高い言葉のように思えるが、それも須藤に対する厚い信頼があったからこそだろう。今でも彼は亀田先生に言われた数々のメッセージを鮮明に覚えている。

「怒れるのが凄いなって。その時は『何でこんなに言われるんだろう?』って思った時もありましたけど、『あそこまでちゃんと愛情のある怒り方をしてくれる先生はいないな』って、卒業してみてわかりました」。3年前に副キャプテンを務めていた竹上有祥は、懐かしそうに高校時代を振り返る。

 “引退”の日が強く記憶に残っている。「二人で個人的に話をさせてもらって、『オマエが頑張ってるのは見ていたぞ。本当に苦しかったと思うけど、この苦しさが次のステージの糧になるから』と言ってもらえた時には、涙が止まらなくなりました」。苦しさにもきちんと向き合っていた日々を、亀田先生はしっかり見ていてくれたことが何より嬉しかった。卒業して3年が経った今でも、あの日の言葉は生きていく上での大きな自信になっている。

「久々に高校の時を考えると、ふとした所に教わったことが生きてるって感じます。靴を並べるとか、人の目を見て話を聞くとか、返事をハッキリするとか、目上の人への言葉遣いとか、挙げていくとキリがないですね(笑)」。2年前にキャプテンを務めていた高橋勇夢は、楽しげな様子で感謝を口にする。

 常に言われていたフレーズは心に刷り込まれた。「入学の時から引退する日の前日ぐらいまで言われていたのは『凡事徹底』ですね。それに加えて『誰にでもできることを、誰にもできないレベルでやるんですよ』って毎回言うんですよ。でも、新しいことをやりたいとか、こういうことを身に付けたいとか思っていく中で、逆に『誰にでもできることを、誰にもできないレベルでやる』って、社会に出た時にも一番難しいんじゃないかなと思うことも結構ありますね」。今でも同期と集まると、『凡事徹底』というキーワードが出てくることがあるという。亀田先生が繰り返した言葉は、彼らの中で確かに息衝いている。

 選手権の初戦は12月30日に行われる那覇西との開幕戦。大舞台へチャレンジする選手たちを、亀田先生はどんな言葉と雰囲気でピッチへ解き放つのだろうか。竹上は恩師へこうメッセージを送る。「亀田先生自身は目立つ役回りじゃないと思うんですけど、生徒をよく見てくださっている先生ということは重々承知の上で、みんなも接していると思うので、多くの言葉は要らないと思います。『昔も今も本当にありがとうございます!頑張ってください!』と。それしかないですね」

 2年ぶりに全国の舞台へ帰ってきた駒澤大学高。240人もの部員を束ねる大野祥司監督の側には、いつも亀田先生の姿がある。

取材・文=土屋雅史

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