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【インハイプレビュー】攻守に隙がないチーム力…青森山田の“例外的な強さ”とは(青森山田)

2018.08.05

鋭い速攻とポゼッション、堅い守りの青森山田に隙は見当たらない [写真]=川端暁彦

 柴崎岳を輩出したことで知られる青森山田高校が「強豪」と認識されるようになって久しいが、近年の安定感はさらに抜きん出たものになりつつある。1年ごとに選手が入れ替わる高校サッカーで、チーム力を安定して高く保つのは容易ではない。どうしても学年ごとに力のバラツキが生まれるもので、それはいわゆる名門校も決して例外ではない。だが、青森山田はちょっと例外になりつつある。

 戦績が水物になりがちなカップ戦と異なり、チームとしての力が色濃く反映されるのがリーグ戦。青森山田はJユースの列強も参加する高円宮杯プレミアリーグEASTに参加し続けているが、ハーフシーズンを終えた今季も2位につけている。17年はギリギリまで優勝を争っての3位、16年は優勝、15年も2位と高順位に入ってくるのが当然のチームになっており、もはや誰も驚かない。黒田監督の一貫性と全体観のあるマネジメントが中心にあり、中等部からの育成、的確なリクルーティング、優秀なコーチングスタッフの存在も相まって、昨年のレギュラーが一人しか残っていない今季も、しっかりチーム力を維持している。

 その「一人」であり、柴崎と同じ中等部上がりの檀崎竜孔は10番にして主将という重責を担うインターハイの要注目選手だが、「彼だけがどうというチームにする気はない」と指揮官が言うように、檀崎のワンマンチームではない。圧倒的な破壊力を持ちつつ、守備の切り替えもこなせるようになったバスケス・バイロンの存在も特筆モノで、1トップを張る大型FW佐々木銀士もリーグ戦で自信をつけて進境著しい。中盤の舵取り役を担う天笠泰輝、東京Vユースから移籍してきた技巧派MF武眞大を含めて隙のない陣容が整いつつある。2年生MF武田英寿も今大会で「7番」を託されるなど期待の高さがうかがえる。

 酷暑の連戦となるインターハイは、ボールを持って体力を浪費しない時間を作れるチームでなければ勝つのは難しい。その意味で青森山田は鋭い速攻だけでなく、「持つ」こともできるチームであり、ボールを即時奪還して、相手に「持たせない」こともできるチームで、問題はない。もちろん、福岡内定の超大型DF三國ケネディエブス、ミスの出ない守りで信頼度抜群のDF二階堂正哉が核となるディフェンス陣の堅さは、もはや完全に伝統。こちらも隙はない。

 初戦が地元の伊賀白鳳となった上に強豪ひしめくゾーンに入ったクジ運は少し微妙だったが、伊東俊(ロアッソ熊本)、松本怜(大分トリニータ)らを擁した05年以来13年ぶりとなる戴冠を果たすだけの地力は、十分に備えている。

文=川端暁彦

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