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【インハイプレビュー】“強くなった”チームが全国を席巻する…「今年は全国優勝を狙っている」(矢板中央)

2018.07.31

歴代のチームを上回る選手層を武器に矢板中央が全国制覇を狙う [写真]=川端暁彦

「来年のチームは、絶対に強くなると思います」

 矢板中央の稲見哲行前主将は、昨年度の高校サッカー選手権準決勝の敗戦後、後輩たちの可能性についてそんな言及をしていた。あれから半年余りを経て、その言葉は現実のものとなりつつある。

 前橋育英や桐光学園といった高校サッカーの名門に加え、大宮、横浜FM、川崎F、東京V、三菱養和といったクラブチームの強豪ひしめくプリンスリーグ関東。そのステージの前半戦を矢板中央は負けなしで駆け抜け、首位で折り返してみせた。その端的な事実が、今年のチームが「強い」という事実を何より物語っている。高橋健二監督は「本当に接戦しかなくて、それがたまたまこちらに転んできただけ」と謙遜するが、どこが相手でも負けないベースがあってこその接戦の連続であり、接戦で競り勝てるのも力がなければできないことだ。

 とはいえ、リーグ戦の強さとカップ戦の強さは必ずしも同一ではない。しかも矢板中央にとって夏のインターハイはどうにも分が悪い大会だ。冬の高校サッカー選手権は過去2度の4強入りを含め、何度もインパクトを残してきているが、夏に関しては「16強が過去最高。そこにどうも壁があります」(高橋監督)。

 ポゼッションはせずに前線の高さ・強さをシンプルに押し出し、スペースを狙い続けるスタイルのチームだけに夏場の連戦でどうにも継続性が出なかったという面はある。今大会でも基本的なスタイルに変更はないと思われるが、高橋監督の挙げる過去のチームとの違いは“選手層”だ。「本当に誰を出そうか、誰をメンバーに入れようか迷わせてくれる」と嬉しい悲鳴を上げさせる厚みを武器に、選手の消耗を避けながら戦い抜くことで壁を破り、新たな歴史を作ることを狙っている。

 U-19フットサル日本代表にも選ばれた大型の技巧派FW大塚尋斗、190cmの長身FW望月謙、単騎で試合を動かせる一発を持つMF飯島翼など昨年から活躍を続ける選手が並ぶ攻撃陣だが、予選では選手権メンバー外の伊藤恵亮が大活躍。さらに2年生CB長江皓亮が負傷するアクシデントもあったが、代わりに入った五十嵐磨於が奮闘を見せて穴を感じさせず、両SBを含めた後ろの陣容も充実している。選手権で先発だった選手がベンチに回ることも珍しくないほどで、稲見前主将の予言通り、間違いなく「強く」なってきた。

「今年は全国優勝を狙っているので」

 予選終了後、白井主将がさらりと自然に言ってのけた一言は、今年の矢板中央が持つベースの高さをシンプルに表している。

文=川端暁彦

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