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優勝に導いた木暮賢一郎監督「フットサル日本代表の熱い想いが伝わったら嬉しい」

2016.04.27

期間限定でフットサル日本代表の指揮を執った木暮賢一郎監督 [写真]=河合拓

 4月22日から24日にかけてウイングアリーナ刈谷で開催された国際親善大会で、フットサル日本代表は初戦でベトナム代表に7-0で勝利、第2戦でウズベキスタン代表と3-3で引き分けて大会に優勝した。

 この大会限定でフットサル日本代表監督に就任していた木暮賢一郎監督は、わずか3日間のトレーニングキャンプの中で初招集選手の多いチームをグループとしてまとめあげ、9月に開催される2016 FIFAフットサルワールドカップ・コロンビアに出場する2カ国を相手に、まったく引けを取らない試合を展開した。

 第2戦のウズベキスタン戦後、木暮監督は「試合としては勝つことはできませんでしたが、日本代表の誇りや熱い想いをピッチで表現しようということを伝えてきました。それが伝わっていたらうれしいなと思います」と語った。2月のAFCフットサル選手権で過去最低の結果に終わったフットサル日本代表は、この大会で再び前に進み始めた。

 以下、木暮賢一郎監督記者会見要旨

――今日の試合を振り返って。

「まず、試合の話の前に、こういう機会を与えていただいた日本サッカー協会と、快く送り出してくれたシュライカー大阪に感謝したいと思っています。また、現役時代、選手とスタッフという関係だった小森(隆弘)コーチと村岡(誠)コーチ、そして普段はFリーグでライバルというか敵でもある岡山(孝介)コーチと谷本(俊介)コーチにも感謝しています。そして本当に選手あってだと思いますので、この難しい状況の中、6日間にわたってこちらの要求について来てくれて、2試合に渡って素晴らしいゲームをしてくれた選手にも感謝しています」

「試合としては勝つことはできませんでしたが、日本代表の誇りや熱い想いをピッチで表現しようということを伝えてきました。逆に言うと、それしか伝えることはできないなと思って引き受けていました。結果は最後勝てればよかったのですが、そういうものが少しでも伝わったらうれしいなと思います。選手だけでなく、関係者、ファンにもそういう思いが伝わってくれたらうれしいと思っています」

――4月限定で日本代表監督を務めたが、日本代表監督への想いは強くなったか。

「現役を引退したときに、将来的な目標や夢として『日本代表監督としてW杯で優勝したい』という発言もしていましたし、そういう想いは指導者をやっている以上、常にあります。それが今回(代表監督を)やったことで(想いがより)強くなったかと言われると、別にそういうことはありません。この大会に勝ったらどうということではなく、(アジア選手権の)残念な結果を受けた中で、この大会に関してのお話があったので(引き受けました)。そこは監督としてというものだけではなくて、選手としても長い間、キャプテンを含めてやらせてもらったOBとして、日本代表のために、1人のフットサル人として何とか力になりたいということで引き受けました。そこで何を残すかというところでは、強い日本、歴史や想いを未来につなげる、選手に対してスイッチを入れる。そういうものを示さないといけないと思って引き受けました。ですから、そういう質問に対しては、今日までプランを立ててやってきたことが終わったというところであって、次はFリーグが始まるので、頭を切り替えて、またいろいろな人が応援してくれるような魅力的な試合をやる。そういうチームをつくることしか考えていません」

――失点は準備期間の短さもあって仕方ない部分があると感じたのですが、得点場面などかなりやろうとしたことが反映できていたと思います。そのあたりの手応えは?

「得点チャンスに関してはスピーディーなところと言いますか。いる選手の持ち味を生かしたカウンターアタックであったり、スピーディーなプレーでゴールに迫ったりするシーンが、たくさんあったという印象はあります。ウズベキスタンは非常に長く同じメンバーでやっていますし、非常に戦術的にも優れたチームです。僕らのプランとしては、まず(初戦の)ベトナム戦のことしか考えていませんでした。同時にベトナム戦とウズベキスタン戦にどう勝つかを同時進行するのは非常に難しかったので、初戦が終わるまでは選手に対してもベトナム戦の話であったり、ベトナムにどう勝つかということしか触れることはできませんでした。現時点の自分の力では、それしかできないなと思っていましたし、ベトナム戦が終わってからウズベキスタンのビデオを見たり、トレーニングをしましたが、なかなかああいったディフェンスを崩すのは難しかった印象がありますが、チャンスの数は非常に多くつくれましたし、もう少し点も取れたんじゃないかなという想いはあります。ゲームのリズムではもしかしたら上回ったかもしれませんし、多くのチャンスがありました。その中で先に点を取られて、追い付いても突き放されてという精神的には踏ん張りが必要な状況の中で、選手たちが声を掛け合ったり、一丸となって逆転するところまで行けたのは、素晴らしいなと思います。何が日本人に合っているかは、これからいろいろな方が努力をして、話し合って、アイディアを出してつくり上げていくことではないかなと思いますが、現状いた、この14名での形は多少見せることができたのかなと思っています」

――勝つために、ハーフタイムではどのような指示を出したのでしょうか?

「(前半の)結果は0−1でしたが、まだ20分あるし、うまくいかない苦しいときがあっても、誇りを持って、自分たちを信じて、味方を信じて、強い日本を示すために、とにかく20分間、持てる力を全部出そうと。戦術的な修正ポイントも話しましたけど、とにかく自信を持って最後には勝つぞと。このハーフタイムだけではなくて、今回のこの6日間は、戦術的なものよりも、そういうモチベーションであったり、姿勢であったり、日本代表としてどう振る舞うか、どう戦うかというところを選手とコミュニケーションをとっていたので、最後のハーフタイムでも、そういう話をしました」

文=河合拓

By 河合拓

フットサル専門誌Pivo!編集部⇒サッカーマガジン編集部⇒ゲキサカを経て、フリーランスに。現在もサッカー、フットサルを中心に取材活動。

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