2015.11.23

カズがフットサル日本代表引退を明言「僕の役目は終わったと思っている」

三浦知良
2012年にフットサル日本代表としてW杯を戦った三浦知良 [写真]=Getty Images
フットサル専門誌Pivo!編集部⇒サッカーマガジン編集部を経て、フリーライター

 横浜FCは23日、シーズン最終戦となる明治安田生命J2リーグ第34節ザスパクサツ群馬戦をホームで行い、寺田紳一のゴールで1-0と勝利を収めた。この試合、Jリーグ最年長出場記録保持者の三浦知良はベンチ入りせずに、スタンドからチームの戦いを見守った。試合後にはフットサル日本代表の活動について聞かれ、「僕の役目はもう終わったと思っている」と代表引退を示唆するコメントを残した。

 プロ入り30年目となったシーズン、カズはリーグ戦16試合に出場し、のちにJ1昇格を果たす磐田からのゴールを含む3得点を挙げた。「最後にホームで勝って終わることができた。サポーターも勝ったことに関しては喜んでくれたと思います」と草津戦を振り返ったが、シーズンを通してのチームと自身の出来には満足できていない。

「(今シーズンは)思うような成績を挙げられなくて残念ですし、自分自身も夏場からここまでほぼ離脱してしまったのは悔しい。来年に向けてしっかりした準備をしないといけないですし、去年も(しっかりと準備を)したんですけど、さらにまたこの経験を生かしていきたい」

 11月11日11時11分に横浜FCとの契約更新が発表されたカズは来年、プロ入り31年目のシーズンを迎えることになる。2016年は秋にFIFAフットサルワールドカップがコロンビアで開催され、カズには2大会連続の出場が期待されていた。

 高校2年でブラジルに渡ったカズは、現地でフットサルもプレー。サッカー選手となってからは、フットサルから遠ざかっていたが、2012年1月に横浜FCと同じLEOCがスポンサードするエスポラーダ北海道の一員としてFリーグのピッチに立つと、この試合を見たフットサル日本代表のミゲル・ロドリゴ監督が彼の招集を決意。2012年に黄色い縦線の入った日本代表ユニフォームをまとって、タイで行われたフットサルW杯に出場した。

 確かにカズの代表入りで普段からフットサルをプレーしている選手が代表入りできないデメリットもあった。だが、メディアに取り上げられる機会の少ない競技、そしてチームにとっては、それ以上のメリットがあったといえる。カズの招集を機に「フットサル」という言葉が何度もスポーツ新聞に取り上げられ、W杯前の親善試合のウクライナ戦でカズがゴールを決めた場面はスポーツニュースだけではなく、昼のワイドショーでも放送されていた。このタイW杯では優勝したブラジル、世界トップレベルのポルトガルと同組に入ったグループリーグを突破し、史上初のベスト16入りを果たした。ミゲル・ロドリゴ監督がこの大会を振り返る際、「お茶の間にフットサルを届けることができた」と話し、その成績だけでなく、普及面でも大きな成果を出すことができたと話す。

 もちろんカズと一緒にプレーしたフットサル日本代表選手にも好影響があった。Fリーグで過去4度の得点王とMVPに輝いた日本フットサル界の顔でもある森岡薫は、練習前後にカズが入念に体のケアをしている姿を目の当たりにし、自分の体と向き合うようになった。現在36歳の森岡は今もフットサル日本代表の得点源として活躍し、来年のW杯での活躍が期待されている。

 ピッチ内外で好影響を残したカズだが、W杯後は国内での試合が半年以上も開催されず、残念ながら彼をきっかけにフットサルに興味を持った人たちの多くをリピーターとすることには失敗した。今月21日に小田原アリーナで開催されたFリーグは、1会場で3試合が行われるセントラル開催だったにも関わらず、来場者数は1試合目が801人、2試合目は773人、3試合目は681人と、深刻な観客不足に陥っており、「観戦するスポーツ」としての認知度を高める必要がある。

 また、ミゲル監督も「カズは人間の衣を着た神。フットサル日本代表は彼の家でもある。彼の協力はいつでも歓迎であり、たとえ50歳になっても、コンディションが良く、彼に来る意思があれば、また呼びたい」と話していた。2014年12月の親善試合後にも有力サッカー選手の招集について問われて、「それがカズである可能性も否定はしません」と、不変の信頼感を口にしていた。

 カズ自身も2014年4月、愛知県が2020年のフットサルW杯招致に動き出したタイミングで、「2020年は難しいかもしれないな。2016年の開催はどこだっけ? コロンビア? 行くよ、オレ。選ばれて。2020年は難しいかもしれないけど、その次はもう2年後でしょ。元気でプレーしていたら、W杯出場を懸けたアジア選手権からやりたいね」と、フットサル日本代表復帰に意欲を見せていた。

 フットサル日本代表は2016年1月に同年のW杯ホスト国であるコロンビアと親善試合を行い、2月にはW杯予選を兼ねたフットサルアジア選手権に挑む。カズが本当にフットサルW杯出場を目指すのであれば、このオフの期間にフットサルのトレーニングも必要だろう。だが、カズはサッカーとフットサルの二刀流を封印することを決めたようだ。

「フットサル日本代表に関して、僕の役目はあの時で終わったと思っていますから。頑張ってもらいたいですね。前回よりも良い成績を残してもらえるように。まだ本大会出場も決まっていませんが、日本はアジアでも強いので、力を出してくれれば間違いなく予選を突破してくれると思います。ミゲルにも頑張ってもらいたいです」

 カズが引退を明言したフットサル日本代表は大幅に入れ替わり、前回のW杯に出場した選手で2015年も代表候補メンバーに選ばれたのは5選手のみとなっている。カズという大きな看板がなくなる来年の本大会では、自分たちが結果を出すことで世間の注目を集めなければならない。カズを擁したフットサル日本代表は、「フットサル」という言葉を広めた。3年前の肥やしを生かして大輪の花を咲かせられるかは、カズから次世代のフットサル日本代表に託された。

文=河合 拓

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