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九州代表は4年ぶり優勝の鳥栖と福岡西 『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN九州』

2021.03.31

『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN九州』を制したサガン鳥栖Uー12 [写真]=日刊スポーツ

 大会会場となった遊学の館多目的芝生広場(長崎県雲仙市)は朝から冷たい小雨の降る天気となったが、切り揃えられた綺麗な天然芝の上で選手は一心不乱にボールを追いかけた。

 今年で19回目を迎えた『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』は、8人制サッカーの全国的な普及を目的に開催してきた。選手一人ひとりがボールに触る機会をより多くすることで、ゴール前のシーンや1対1の場面が増え、シュートの意識や攻守の切り替えの速さ、判断の速さ、仕掛けの意識など、サッカーに必要な要素をジュニア年代から浸透させていく狙いがある。

 本戦の出場権を懸けた九州大会予選には、全1191チームの中から予選を勝ち抜いた各県2チームの代表16チームが集まり、熱戦を繰り広げた。決勝に進んだのはJクラブの下部組織となるサガン鳥栖Uー12(鳥栖)と九州の強豪クラブ・福岡西フットボールアカデミー(福岡西)。大会1週間前にも練習試合を行った互いの手を知り尽くす両チームの対戦は、鳥栖が5−1で4年ぶりの王者に輝いた。

[写真]=日刊スポーツ

 今大会を通じて鳥栖は「自分たちのサッカーを貫く」という強い信念が感じられた。選手の個々の技術とアイデアを生かし、トップチームの哲学でもあるハードワークを徹底する。GKから丁寧にパスをつなぎ、ピッチを広く使った攻撃でゴールを狙い、ボールを失えばすぐに奪い返す。その“鳥栖らしさ”は決勝戦でも存分に発揮された。試合開始早々に先制点を許したが、焦りはなかった。福岡淳二郎監督は「先制点を取られて難しい試合になると思ったが、今大会は1回戦から苦しんだ試合が多く、その経験が活かせた」と1点ビハインドを負って前半を終えたハーフタイムに、「もう一度、自分たちのやることを見直そう」とだけ話したという。

 自分たちのやることとは、球際で戦う、1対1で負けない、攻守の切り替えを速くするといったサッカーに必要な“当たり前”のこと。選手はそれを十分に理解しており、「これからが勝負、一気に逆転するぞ!」と大きな掛け声とともに後半戦のピッチに立った。

 パスをつなぎ、主導権を握り、攻勢にでた後半5分。PKのチャンスで小野禅竜(5年)が確実に決めた。「これまでの試合も試合を支配しながら点が取れなかった。PKは緊張したけど落ち着いて蹴れた」とエースの一撃でチームの勢いが増した。3分後に千綿海惺(5年)のピンポイントのクロスを小野が右足で合わせ逆転に成功、さらに狙いとするサイド攻撃から追加点。鳥栖の得点はいずれも素晴らしい展開から生まれたものだった。

[写真]=日刊スポーツ

 この試合4得点で勝利の立役者となった小野は、キャプテンを担うプレッシャーから準決勝まで1得点と本来の力を発揮できずにいた。決勝を前に福岡監督から「ここで力を発揮できなければプロにはなれない」との言葉に発奮し、結果で応えた。小野は「全国では圧勝できるように自分のゴールで勢いを与えたい」と本戦に目を向けた。

 準優勝に終わった福岡西は、試合開始1分に相手陣内でボールを奪った松下宙人(5年)がそのままドリブルで持ち込み、豪快なミドルで先制点を奪った。「チャンスと思って思い切り打った」(松下)と右足を振り抜いた。1学年上のチームから試合に出ていた松下、小澤康太、福永蓮の5年生を中心に運動量で上回り、技術の高い選手が揃う鳥栖の攻撃を跳ね返した。

 長谷川洋平監督は「ウチの時間帯もあったが、先制点が早すぎ守りに入ったのかな。体を張り、泥臭くプレーし、よく戦ったが、相手の方が技術も体力も抜けていた」と振り返ったように、後半に同点されてから足が重く、強度が上がらなかった。「強いチームに隙を作れば一瞬でやられることを学んだが、この大会では総合力で上回る相手を倒し、勝負強くなったし自信をつけた」(長谷川監督)と課題も収穫も得た大会となったようだ。

 5月の連休に開催される『JA全農チビリンピック2021 JA全農杯 全国小学生選抜サッカー決勝大会』まで1カ月余り。目標は大きく、松下は「去年の6年性が達成できなかった日本一を目指したい」とチームの思いを代弁した。

 九州を代表して力のある2チームが、自分たちのスタイルを貫き、本戦では大暴れする!

文=柚野真也

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

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