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『喋りのファンタジスタ』玉乃淳が語るサッカー解説の極意

2016.08.24

7年前の25歳からサッカー解説者として活動している玉乃淳さん

経営コンサルタントを本業としながらも、サッカー日本代表とコンサドーレの熱烈なサポーターとして各種メディアで積極的に情報発信を行っている村上アシシ氏。今回、J論ではアシシ氏独特のサポーター視点、経営コンサルタント視点で日本サッカー界を盛り上げる方法を探る対談企画をスタート。今回は独特の解説で人気となっている玉乃淳が登場。フリーダムと称される解説手法の謎に迫った。

▼アンチの批判は特に気にしていない

アシシ:今日はよろしくお願いします。玉乃さんと言えば、2014年にマツコ・デラックスさん有吉さんの地上波番組『怒り新党』で奇抜なサッカー解説者として紹介されたことでブレイクしましたよね。

玉乃:ブレイクってほどでもないですよ。

アシシ:でもあれで結構仕事のオファーとか増えたんじゃないですか?

玉乃:全然ですよ。もうちょっと何かいけるのかなと思ったんですけど、一瞬で終わりました。ほとんど何にも派生しなかったです(笑)。

アシシ:正直言うと僕、玉乃さんの現役時代のプレーって見たことないんですよ。僕が玉乃さんを知ったのは、それこそ『怒り新党』の放送前後ですよ。ツイッター上で、サッカークラスタが『玉乃さんは喋りのファンタジスタだ!』と盛り上がってて。そうやってネット界で話題になっているのは、自覚してますか?

玉乃:よく友だちが馬鹿にして?リンク送ってきたりするので知ってます(笑)。

アシシ:ツイッターのメンションとかで直接言ってくる人はいないんですか。

玉乃:それはないですね。

アシシ:そういう歯に衣着せぬ発言をしていると、褒めてくれる人もいれば、当然アンチもできるわけじゃないですか。アンチが玉乃さんに直接リプを送ってきたりとか、そういうのもないですか?

玉乃:ないですね、1回もないかもしれない。そもそもあんまり見てないですし、正直気にしていないです。

アシシ:なるほど。あの玉乃さん独特のフリーダムな感じの解説は、何か発祥となるルーツとかあるのですか?

玉乃:解説者になった時に、スペインですごくお世話になった日本人の方からアドバイスをもらったんですね。声は大きくいつも明るく元気に、板東英二さんみたいになれと。

アシシ:板東英二さんですか? 意外ですね。

玉乃:現役の時に1日3試合とか見ていたんですけど、解説がつまらない時もあったんですよ。それがきっかけで、楽しませたいってわけじゃないですけど、例えばつまらない試合こそ飽きさせないようにと考えて解説できるように心がけています。

アシシ:つまらない内容の中でも、ここが面白いっていうのをピックアップして視聴者に届けるってことですね。

玉乃:そうですね。見てる側として、テンションが低い中継だとイライラもしていましたから、つまんなくて。

アシシ:そういうコンセプトがあるんですね。実況のアナウンサーも、玉乃さんのネタに乗ってくる人と無視する人と分かれますよね。どう対応してるんですか?

玉乃:特に気にしてないですよ。

アシシ:拾ってくれよ!とか思わないんですか?

玉乃:それも特にないですね。アナウンサーの方も人それぞれやり方がありますし。

▼当たり障りがないことを言う解説者は罪

アシシ:それにしても、解説者の業界もほぼ毎年のように元日本代表選手が入ってきて、競争が熾烈ですよね。

玉乃:めちゃくちゃ激しいと思います。でも、まったく気にしないし、僕は常にその試合がラストだと思っているんで。

アシシ:かっこいいですね。名言来ました。

玉乃:これはマジです。月間でも年間でもない1試合契約なので、何かひとつ放送禁止用語を言ったら終わりだし。毎回、この試合がラストと思って、これでもうオファーがなくなってもしょうがないと思ってやっています。

アシシ:解説って年間契約とかじゃないんですね。

玉乃:僕の場合は1試合単位です。サッカー選手みたいなスリリングさがありますね。ミスをしたら次から試合に出られないケースとまったく同じ状況です。

アシシ:最近、サッカー解説者がサッカーのルールをちゃんと解っていないとツイッターで話題になっています。サポーターで審判の資格持っている人がいて、解説者のあの指摘は間違いだとツイートすると、何百リツイートとかされるんですよ。この前にあったルール改正の勉強はしているんですか?

玉乃:もちろん勉強はしますけど、勉強した上で間違ったことを言ってもそこで議論が起これば僕はいいと思っています。解説者だって審判だって人の子。ミスは当然ある。そうやって問題を提起することで議論が巻き起これば、それはそれで意義のあることじゃないですかね。

アシシ:確かに、サッカーは絶対解がないスポーツですからね。

玉乃:だから、当たり障りがないことを言う解説者は罪なんですよ。

アシシ:また名言来ました。

玉乃:何のために解説しているんですか。

アシシ:『自分はこう思う』と、白か黒かで意思表示することこそが解説者の存在価値だと。

玉乃:それが仕事だと思っていますね。何を言われようが。

アシシ:それでお金もらっているわけですからね。

玉乃:そうなんですよ。だから、指導者に戻りたいからクラブのことをあんまり批判しないとか、体裁を気にするのはちょっと違うんじゃないかなと思っています。

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