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壮大な夢を持つスター候補たちの2日間…コーチが求めた“状況判断”とは?

2016.08.20

『GLOBAL ELITE』2日目も子どもたちは真剣な眼差しでコーチ陣の指導を受けた

 14日、千葉市内の株式会社HONDA ESTILOが運営するZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAで『GLOBAL ELITE』が開催された。このイベントには、低学年の部(小学2,3年生)30名、高学年の部(小学4、5年生)30名の計60名が参加。選手たちの中には、卓越したスキルを持つ子供たちを特集した『BLAZE A NEW PATH』の出演経験がある子供たちもゲストとして参加した。表彰式では、前日13日から2日間のトレーニングを各コーチが評価し、各部から8名ずつ優秀選手を表彰。さらに、低学年の部の優秀選手の中からMVPを1人選出し、BLAZE A NEW PATHへの出演権と、来春にスペインで開催される「マドリードジュニアカップ」、国際大会でもある「バルセロナカップ」の両大会への参加権が贈られる。

 イベント2日目となったこの日、レアル・マドリードの育成組織での指導経験を持つグティコーチの『スペインメソッドトレーニング』や、元Fリーガーで現在バルドラール浦安のテクニカルディレクターを務める高橋健介氏が指導する『コントロールオリエンタードクリニック』などのプログラムが実施された。

高橋健介氏が指導した『コントロールオリエンタードクリニック』

高橋健介氏が指導した『コントロールオリエンタードクリニック』

 スペインメソッドトレーニングでは、様々な形式のミニゲームをメインに練習を実施。その一例を挙げると、ハーフコート内に、両チーム4か所ずつ計8か所のゴールをパイロンで設置。1チーム6人に2人のフリーマンを加えた14人で対戦するというものだった。狭いコート内でボールを保持しようとすると、すぐに相手に囲まれてしまう。逆に、目指すゴールが4か所あるため、相手のマークが薄いポイントも必然的に現れる。どこにスペースがあるのか? そこをどう攻めるのか? フリーマンをどう使うか?グティコーチが子供たちに求めたのは“状況判断”だった。

「自分でボールを持ちたがる選手は確かに多い。しかし、サッカーには様々な要素がある。色々なことを考えながら、今何をやるべきなのか?こういうことをした方が良いのではないか?ということを考えてほしい」

 ゲーム中に選手たちが対面する様々な状況の中、瞬時に最良の選択をする戦術眼。それを養うのが、この一風変わったミニゲームの目的だ。

「今回のようにゲーム形式の練習で試合と同じ状況を作って、その中で問題点や学ぶべきポイントがある。育成年代の頃はドリブルやパス練習など、テクニックの向上に走りがちになるが、『学んだことをいつ使うのか?』ということを知ることが一番大事。そこは小さい頃から意識付けてやらないといけない」とグティコーチは語った。

ミニゲームをメインに行った『スペインメソッドトレーニング』では, 随所でグティコーチの檄が飛んだ

ミニゲームをメインに行った『スペインメソッドトレーニング』では,随所でグティコーチの檄が飛んだ

 ミニゲーム開始直後はドリブルで強引に持ち上がろうとする選手が多く見受けられたが、ゲームが進むに連れ長短織り交ぜたパスワークが目立つようになった。グティコーチに2日間指導した感想を聞くと「聞く姿勢や取り組み方は高くなった。これから皆、さらに良くなると思う」と今後のさらなる成長に太鼓判を押した。

 高学年の部から優秀選手に選出された川口遼己くん(小学4年生)に特技を聞くと意外な答えが……。「ドリブル」「パス」「シュート」という大多数の答えに反し、「状況判断」と答えた。その言葉を証明するかのように、ミニゲームでは少ないタッチ数で味方にパスを通し、チャンスを演出。隙を見つけるとドリブルで攻め上がるなど、的確な判断から好プレーを連発。グティコーチが求めるプレーを最も体現した選手と言えるだろう。そんな川口くんの好きな選手はイニエスタ。状況に応じたパスとドリブルのコンビネーションが参考になると言う。

「状況判断」を得意分野に上げた川口遼己くんは、パスとドリブルのコンビネーションでチャンスを演出した

「状況判断」を得意分野に上げた川口遼己くんは、パスとドリブルのコンビネーションでチャンスを演出した

 大勢の男子の中で輝きを見せたのが、前原嘉乃さん(小学4年生)。「なでしこジャパンのキャプテンになりたい」と語った前原さんも優秀選手に選ばれた1人だ。数少ない女子選手ながら、パワフルなドリブル突破と、積極果敢なシュートでネットを揺らす姿は、時に男子を圧倒していた。

女子の参加者で、唯一、優秀選手に選出された前原嘉乃さん。男子顔負けのパワフルなドリブルとシュートが光った

女子の参加者で、唯一、優秀選手に選出された前原嘉乃さん。男子顔負けのパワフルなドリブルとシュートが光った

 そして、MVPに選出されスペイン行きの切符を掴んだのは、奥田悠真くん(小学2年生)。『BLAZE A NEW PATH検定』で行ったリフティングや、シュート練習、1対1の中で見せたボールコントロールがコーチ陣の目を引いた。MVP選出の決め手となった技術を向上させたのが、毎日のルーティーンとして必ず行うリフティングだ。奥田君のお父さんは「『誰にも負けない武器を1つ作ろう』と考えて、リフティングをやらせてきました。つま先から太もも、アウトサイドなど、脚のいろいろ部分でボールを扱えるように練習前に取り入れています。それをルーティーンにして、毎日の積み重ねにすることで技術が向上していきました」。サッカーを始めてからこのルーティーンを取り入れると、保育園の年長時には2000回を記録するまで上達した。

 奥田君にとって今回の渡航は人生初の海外。それでも、「スペインの選手たちと勝負したい」と、その目はすでに世界を見据えている。将来の目標については、「メッシを超える選手になりたい」と語気を強めた。目標とするメッシが戦うスペインへ、小さなスター候補の挑戦が始まろうとしている。

MVPに選出されスペイン行きの切符をつかんだ奥田悠真くんは将来の夢について、「メッシを超える選手になりたい」と語った

MVPに選出されスペイン行きの切符をつかんだ奥田悠真くんは将来の夢について、「メッシを超える選手になりたい」と語った

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