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サンフレッチェ広島の佐藤寿人「サッカー少年の父として息子に伝えたいこと」

2014.04.07

取材・文=ヒュンメル(株式会社エスエスケイ)

 Jリーグ史上初となる10年連続二桁得点を達成するなど、J1で138得点、J2で50得点とゴールを量産し続け(2014年4月7日現在)、チームをリーグ連覇へと導いた佐藤寿人選手。偉業を成し遂げたサンフレッチェ広島のエースも、ひとたびピッチを離れると二人の息子を持つ良き父親です。今回はジュニアに大切にしてもらいたいフェアプレー、また、ジュニアシューズやサッカーノートについて話を伺いました。


■フェアプレーの大切さ
――フェアプレー個人賞を2年連続で受賞され、2013年Jリーグアウォーズでは、『子どもたちの見本になるようなプレーをしていきたい』と語られました。

佐藤 僕は対戦相手を敵だと思うとマイナスの気持ちが出てしまうと思うんです。怒りだったり、憎しみだったりというネガティブな感情が生まれて、ラフプレーにもつながってしまいます。でも、同じサッカーを愛する仲間だとリスペクトすれば、フェアプレー精神でプレーできるのではないかと思っています。僕自身、カズさん(三浦知良/横浜FC)やゴンさん(中山雅史)の影響で、常にフェアな形でゴールを決めたいと思うようになりました。こういう姿勢を下の世代に伝えていきたいですし、子どもたちにはサッカーを楽しむためにも、取り入れてもらいたい考え方ですね。

■子どもの足に合ったシューズ
――小学5年生と2年生の二人の息子さんもサッカーをされていますが、シューズを選ぶ際はアドバイスされますか?

佐藤 スニーカーは好きなものを自分で選ばせるようにしています。でも、サッカーシューズの場合は、シューズを専門に扱っているお店の人のアドバイスを聞くようにしています。すごく分かりやすいですし、僕も聞いて勉強になりますから。かかとに合わせてシューズを買ったほうが良いとお店の人に言われたので、それからは子どもがかかとをトントンってやって買っていますね。あとは自分が経験していることで、アドバイスすることもあります。子どもはやっぱり派手なものとか、みんなが履いているからという理由で選びがちですが、その時は「足に合ったものが大事」だと言いますね。ただ、子どもは履いていく上で「これがダメだった」と分かっていくじゃないですか。見た目はいいけど、水が入ってきやすいとか。そういう経験をして、子どもの中で次にモノを選ぶときに生かしてくれればと。あとはかかとを踏んで履こうとするので、『それはダメだよ』と厳しく言っていますね。

――ジュニア向けに展開している『プリアモーレ』シリーズは、子どもの足型に合わせて開発したオブリークラストというオリジナルのラストを採用しています。佐藤選手の息子さんもこのモデルを履かれているとのことですが。

佐藤 はい、履かせてもらっています。親として子どもの成長は早いと感じていますから、大人と子どもの足の形の違いを考慮して開発されているのは、すごく良いことだと思います。成長していく上でも、それが助けになるでしょうし。あと、個人的に紐ではなくベルクロタイプがあるのもうれしいですね。下の子はまだ小さくて紐が結べないので、とても助かっています。

■書くことで学び、成長する
――サッカーをより好きになって、上達してもらいたいという思いで、ヒュンメルはサッカーノートを販売しています。佐藤選手も子どもの頃、サッカーノートをつけていたそうですね。

佐藤 はい、ジュニアユースとユース時代の6年間つけていました。日々の練習メニュー、自分自身のプレーがどうだったか、あとは、コーチが言った印象的な言葉を書き留めていました。サッカーノートを見返すことで、原点を思い出すこともできますし、言葉を残しておくことはすごく大事だと思っています。それが自分の考え方につながっていきますしね。僕はうまい選手ではなかったので、子どもの頃は足りていない部分が多くて、常に『何かしなきゃ』という思いを持っていました。サッカーノートをつけることで、『何かしなきゃ』という気持ちを、より具体化できたと思います。そして、自分がどういうプレーヤーなのかを理解するのに役立ちましたね。自分を理解するためには自分を客観視しないといけない。自分自身のプレーはどうだったか、周りは自分をどう見ているか。それらを整理して理解するのに有効だと思います。

――息子さんもサッカーノートをつけられているそうですね。ノートをチェックして、アドバイスを送ったりしているのですか?

佐藤 練習から帰ってきて食事の後に書いています。「書き終わったら見せて」と言って、一つひとつの項目をチェックして突っ込みどころを探しています(笑)。ヒュンメルのサッカーノートは項目ごとに分かれているのがいいですね。子どもにとって書き出しやすいでしょうし。たまにですが僕も練習や試合を見にいくことがあって、最初の頃は学んだこと「特にない」とか、うまくいかなかったこと「特にない」とか書いてあって、イチから説明するのは大変でした(笑)。でも、これは項目ごとに分かれているのが、子どもにとっては書き出しやすいのかなと。コートも描かれていて試合用のページもありますし、プレーをイメージしやすいと思います。それに、普段知ることができないことも知れるから面白いですよね。「こうやって考えているんだ」というのが、普段のサッカー以外の会話ではなかなか知ることができないことも、ノートがあれば知ることができますから。今年一年の目標を書くところもあって、上の子が「下級生をまとめる」なんて書いてあると、まず自分の学年をまとめられているのか、って(笑)。でも、そういう考えを持っているということが、普段の会話では分からない。こうやって書き出すことで、サッカーだけじゃない部分での子どもの考えを知れるのは、親としてもすごく良いですよね。

――サッカーノートをつけるのは何年生くらいからが適していると思いますか?

佐藤 低学年であれば、書けることだけ書いて、あとは点数つけるのが好きだと思うので、点数をつけるくらいでもいいのかなと思います。すごく頑張った時は100点、200点と書く子もいるかもしれないし、今日はダメだったなという場合は書かないのかもしれないですけど、それはそれでいいのかなと。まずはサッカーの楽しさを感じてほしいですね。でも、4年生以上になってくると、大人と同じようなサッカーをやる年代になりますから、そうなればサッカーノートを習慣づけることが良いと思います。サッカー選手になりたいという気持ちが強くなって、それと同時に現実も少しずつ知らされていく部分もあると思います。そこで自分を客観視していくことはすごく大事ですよね。

■親として息子たちに伝えたいこと
佐藤 息子たちと将来のことについて話をしたりするんですけど、2人とも「サッカー選手になりたい」って言うんです。それで職業の本を渡しました。「大きくなったら、こんなにいっぱい職業があって、別にサッカー選手じゃなくてもいいんだよ」って。そういう風に言ったんですけど、やっぱり「サッカー選手になりたい」って言うんです。サッカーを楽しむことは大事にして欲しいですけど、「サッカー選手になりたい」と言うんだったら、「練習しなきゃいけないよね」とはずっと言っています。でも、なりたいと言ったからなれるわけではないし、現実もある程度は教えないといけない。難しいところですよね。C級ライセンスを取ったときも、「ドリームキラーになってはいけない」って指導の教本に書いてありました。もちろん、夢を壊してはいけない。でもやっぱり夢だけ語って、夢はかなうのかというと、決してそうではない。そこは、4年生くらいになれば徐々に感じてほしいですよね。実際にサッカーをやっていても、自分よりもうまい子が出てくるわけじゃないですか。そういうところで現実を知って、たぶん「うまくなりたい。もっと練習しなきゃ」っていう気持ちになってくれると思うので……。夢を語るのであれば、それに向かって努力しないといけない。それはある程度伝える必要がある。「努力できないな」と思うのであれば、あきらめたほうがいい。そこの部分の夢を壊すのは、何ら問題ないかなって。まあ、自分の息子たちにはこれからに期待したいですね(笑)。

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