アジア競技大会に出場する日本代表の相原翼(レバ)選手(左)と杉村直紀(SOFIA)選手(右) [写真]=瀬藤尚美
いよいよ明日、『ウイニングイレブン2018』のアジア王者を決める戦いが開催される。金メダルに挑む日本代表はどのように戦うべきなのか。選手たちの言葉から大会を展望する。
国内選考会を勝ち抜いて日本代表の座をつかんだのは、21歳の杉村直紀(SOFIA)選手と18歳(代表決定時は17歳)の相原翼(レバ)選手。2人は6月に行われた東アジア地域予選で初めてチームを組み、見事に本戦出場権を獲得した。
同予選は本大会と同じくBO3形式(2ゲーム先取)で行われ、第1ゲームは1vs1、第2ゲームは2vs2、第3ゲームは1vs1で実施。日本は4戦全勝(8ゲーム全勝)という圧倒的な強さで突破したのだが、実はその記録よりも大きな収穫があった。
すでに世界大会などに出場したこともある経験豊富な杉村選手いわく、当初は第1ゲームの1vs1はすべて杉村選手が担当する予定だったという。だが、本大会を見据えて相原選手にも経験を積ませたほうが良いと考え、予選当日に急きょ、第2試合の1ゲーム目を相原選手に託すことにしたのだ。
「本当にびっくりしました。しかも相手は東アジアの中で1番強いと思っていた韓国だったので……」と、戸惑いもあった相原選手は緊張のせいか、前半で3点のビハインドを背負ってしまう。それでも後半に一挙4ゴールを奪うと、ラストプレーで追いつかれたもののPK戦の末に勝利。苦しんだのは事実だが、何ものにも代えがたい「本当にいい経験」(相原選手)をすることができた。
この判断を下した杉村選手は予選後、「押し付けるような形になってしまったかもしれない」とやや申し訳なさそうに話したが、一方で「相原選手なら絶対に勝てると思っていました。仮に負けたとしても、2vs2と最後の1vs1で取り戻せますしね。不安よりも経験してほしいという気持ちが上回りました」と本音を明かしていた。
もちろんこれはギャンブルで、もし相原選手が初戦を落としていたら悪い流れを断ち切れずに最悪のシナリオを辿っていたかもしれない。それでも、彼らはあえて険しい道程を選ぶことで信頼関係と自信を高めることに成功したのだ。
予選で痛感させられたように、明日の戦いでカギを握るのは「いかに平常心で戦うことができるか」だろう。大会というのは何が起こるかわからないし、海外の独特な雰囲気、日の丸を背負って戦うプレッシャーは計り知れない。杉村選手も予選後、「思っていたよりは楽だったというのが正直な感想です。ただ同時に、自分の100パーセントを出さないと危ないということも感じました」と警戒心を強めていた。
いつもどおりに自分のプレーをする――。言葉にするのは簡単だが、実行するのは非常に難しい。しかし、「代表選考会で負けた選手は僕らに拍手をしてくれた。そういった選手の分も頑張らないといけない」(杉村選手)、「メディアの注目度が高いので、eスポーツやウイニングイレブンの魅力を伝えるチャンスです。必ず良い結果を残したいです」(相原選手)と決して驕ることのない彼らなら、きっとやってくれるはずだ。
大会はインドネシア・ジャカルタのマハカ・スクエアにて、日本時間9月1日12:00から23:00にかけて開催予定。また、下記ページにて16:20よりライブ配信される。
http://www.tbs.co.jp/asiangames/esports/