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Jリーグ観戦のきっかけは「友人や家族の誘い」が大多数…今すぐできる好きなクラブを助けるビジネス活動

2017.09.15

友人や家族をスタジアム観戦に誘うアプローチもクラブを助けるビジネス活動

 ピッチ上のプレーを見ているだけでは物足りなくなってきた――。そんな方にぴったりの企画が、この『あなたのJリーグライフがもっと充実! 5分でわかるサッカービジネス講座』です。サッカービジネスやクラブ経営の知られざる一面を解きほぐしていく連載で、サッカーを楽しむ視点が増えることは間違いありません。

 ファンである私たちも応援するクラブのビジネスにかかわることができるのでしょうか? それが今回のテーマです。講師に迎えたのは株式会社Jリーグマーケティング専務執行役員の山下修作(やました・しゅうさく)さん。Jリーグアジア戦略室室長や国際部部長の経験も持つ山下さんが、「私たちにもできること」を伝えてくれました。

構成=菅野浩二
協力=一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル

Q. サッカーファンはJクラブに対してどのような形でビジネスにかかわれますか?
A. 友達を誘って来場したり、ボランティアをすることでもクラブにとって大きな力になります。

◆友人や家族をスタジアム観戦に誘うのも立派な貢献

 クラブビジネスの根幹を成すのは、「広告料収入」「入場料収入」「物販収入」の“3本柱”です。サッカーファンの皆さんに、自分たちも楽しみながらクラブの収入増に少しでも貢献しようという思いを持っていただけることは大変ありがたく思います。チケットを買ってスタジアムで試合を見ることでも十分に力になってくださっています。入場料収入という大事な収入の柱に直接かかわっていただいている、ともいえます。

「年間パス」や「シーズンシート」など呼び方は様々ですが、各クラブともリーグのホームゲーム全試合を観戦できるチケットを販売しています。皆さんにとっては1試合ずつ単券で買うよりも割安という利点があるものです。クラブにとっても、繰り返しお客様に来ていただけるということは大きなメリットとなりますし、まとまった金額が年度の最初に入ってくるというプラス要素があります。ビジネスや営業にかかわっている方ならよくわかると思いますが、一年の前半に可能な限り収益を上げておくと、事業はスムーズに回ることが多いといえます。

 別の方法では、友人や家族をスタジアム観戦に誘う、というアプローチもあります。今、スタジアムを訪れている方々がそれぞれJリーグ観戦未経験の方を一人誘っていただく。それだけで、入場者数は倍になり、チケットの売上も増えます。実際、アンケートの結果によると、初観戦のきっかけは「友人や家族に誘われたから」という回答が多く、スタジアムに1人誘うことは、ファンの拡大に大きく貢献いただいたことになります。

 また、どのクラブも、ホームゲーム開催の際には試合運営のボランティアを募集しています。チケットもぎり、お客様の誘導、チラシなどの配布、イベントの運営補助といった業務は、お客様の目線がよくわかりますし、地域のボランティアの方にお願いしているクラブが多いです。ボランティアという形ですので、原則無償であり、皆さんの協力によってクラブは運営経費を抑えることができています。コストダウンは利益増につながりますから、ボランティア活動によるクラブビジネスへの貢献度も決して小さくありません。

◆あなたがクラブのスポンサーになることも可能

 個人単位でも、実は広告料収入増収の力になっています。

 間接的にはなりますが、クラブスポンサーの商品を積極的に購入する、あるいはサービスを意識的に利用する、というのは、巡り巡ってクラブのスポンサーに長く支援いただけることにつながります。クラブをサポートすることで売上が上がれば、企業にスポンサーメリットを感じていただきやすくなります。新たなスポンサーの獲得にも原動力となるでしょう。

 また、各クラブともユニフォームの前後やスタジアムの看板に企業名が入れられるスポンサーの形態のほかに、少額で支援していただくマイクロスポンサーなども随時募集しています。金額は数万円程度のものからそろっており、マッチデープログラムに社名が掲載できる、年間の招待券を受け取ることができる、公式ウェブサイトに社名が記載される、といったスポンターメリットがあります。マイクロスポンサーはホームタウンの中小企業や病院、学校法人などが多く、事業を営んでいる方であれば、こうしたビジネスパートナー契約を結ぶことで、クラブの増収を手助けすることもできます。また、ウェアやサービスなど、スポンサー料以外の形でクラブを支援いただいているケースもあります。

クラブビジネスにかかわる主な手段

 個人スポンサーを導入しているクラブもあります。形態は様々ですが、一定の協賛金を支払うと、企業のスポンサーと同じように何らかのメリットを得ることができます。クラブによって内容は異なりますが、試合前に名前がスタジアムで紹介されたり、選手との写真撮影ができたり、オリジナルグッズや非売品のグッズをもらえたりといった特典を受けることができます。 個人スポンサーに近い考え方としては、ファンクラブに加入したり、ケースによってはクラブの株を購入したりというかかわり方もあります。単にチケットを購入してスタジアムで観戦するだけでなく、個人単位でもクラブの財政を支える方法は少なくなく、そこに生じる当事者意識はさらにクラブをサポートしようというモチベーションにつながるはずです。

 インターネットサイトを通じて資金を集める「クラウドファンディング」にも新たな可能性があるかもしれません。ファンの皆さんが主体的に集めた資金を選手補強の一部にあてたり、アカデミーの運営資金の一部にあてたりと、クラブの魅力を増す方向で活用するのも興味深い施策といえるでしょう。

\教えてくれた人/
山下修作(やました・しゅうさく)さん
株式会社Jリーグマーケティング専務執行役員。北海道大学大学院修了後、株式会社リクルートで営業、編集、企画、WEBメディアのリニューアル、プロモーション、マーケティングなどに携わる。2005年からJリーグ公認サイト『J’s GOAL』の運営やJリーグのWebプロモーション事業などにかかわった。Jリーグアジア戦略室室長や国際部部長を経て、2017年4月より現職。

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