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【2011年の日本代表総括】劇的なストーリーに目を奪われず現実を直視したい
投稿日時:2011年12月17日 01:25

結果は申し分のないものである。
1月のアジアカップでは、2大会ぶりに王座を奪回した。準々決勝で開催国のカタールを、準決勝で韓国を、決勝ではオーストラリアを下したのだから、チャンピオンと呼ぶにふさわしい。
アジアカップ優勝によって、2013年6月開催のコンフェデレーションズカップの出場権を獲得した。ブラジルW杯へ向けた強化の機会を、先取りすることができている。すでにブラジル、スペイン、ウルグアイ、メキシコの出場が決まっており、欧州、南米のトップクラスとの真剣勝負を実現する。W杯よりひと足先に、開催国の会場で試合ができるのも有益だ。
8月の韓国戦にも触れなければならない。
国内のテストマッチとはいえ、3-0の快勝はサプライズだった。宿敵から勝利をつかむのは05年8月の東アジア選手権以来で、ホームでの白星となると98年3月のダイナスティカップまでさかのぼらなければならない。
さらに付け加えれば、3点差以上の勝利は74年の日韓定期戦以来である。釜本邦茂が代表だった当時のゲームだ。
U-20W杯出場を2大会連続で韓国に阻まれ、南アW杯直前にホームで完敗を喫していただけに、力強い巻き返しを印象づけた。急逝した松田直樹さんに捧げる意味でも、札幌でつかんだこの勝利は価値がある。
9月に開幕したW杯3次予選は、残り2試合の時点で突破を決めた。本田圭、内田、長友らが戦線離脱し、ベストメンバーを組めないなかで勝ち点を積み上げていったのは評価できる。清武やハーフナー・マイクら、新戦力を迎えることもできた。
一方で、課題も浮き彫りになった。
3次予選の消化済み5試合を振り返ると、タジキスタンから奪ったふたつの勝利が突破につながったことが分かる。ウズベキスタン、北朝鮮両国との対戦成績は、1勝1分け1敗のイーブンだ。3次予選参加国でイランに次ぐ14得点も、タジキスタンを草刈り場としたからに過ぎない。
ザックが3-4-3をテストしているのも、チームをワンランク上へ押し上げるためだろう。ふたつの戦い方を装備すれば、対戦相手はスカウティングにより多くの時間を要する。
戦前の駆け引きで、精神的に揺さぶることができるのだ。バルサが3バックを本格的に採用しているのも、分厚い包囲網を打ち破るために他ならない。相手に研究されるという前提に立つと、オプションを持つのは勝利への必要条件なのである。
2014年のブラジルW杯で、日本は南アW杯以上の成績を目標としている。ザッケローニ監督は具体的な目標を明言していないものの、「2015年までに世界のトップ10入り」がサッカー協会の合言葉だ。ベスト16の壁は、越えなければならない。
古くは04年のアジアカップ、最近では南アW杯で、日本の躍進を後押ししたのはチームの一体感だった。1月のアジアカップでも結束力を見せつけた。
しかし、世界のトップ10の壁を突き破るには、一体感を強みとするだけでは限界がある。アジアで圧倒的な実力差を誇示するようにならなければ、南アW杯を上回ることはできない。
「チームとしての雰囲気というか、結果が出ているところではいい。誰かひとり、ふたりが欠けても、チーム力が落ちることはない」
W杯3次予選突破を決めた直後、キャプテンの長谷部がこんな話をしている。「結果が出ているところではいい」という表現に、ちょっとした不満を読み取るのは強引だろうか。
長谷部がこうした言い回しを使ったのは、一度や二度ではなかった。さらなる高みを意識したときに、日本代表はもっと厳しい雰囲気を持った集団になるべきだ、と彼は告げていると想像する。
アジアカップもW杯3次予選も、紙一重の勝利(あるいは引き分け)の連続である。ドラマティックなストーリーに目を奪われることなく、現実をしっかりと直視したいのだ。
【戸塚啓 @kei166】 1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッ チは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。著書には 『マリーシア(駆け引き)が日本のサッカーを強くする(光文社新書)』、『世界に一つだけの日本サッカー──日本サッカー改造論』(出版芸術社)、『新・ サッカー戦術論』(成美堂出版)、『覚醒せよ、日本人ストライカーたち』(朝日新聞出版)、『世界基準サッカーの戦術と技術』(新星出版社)などがある。2011年12月に最新著書『不動の絆』~ベガルタ仙台と手倉森監督の思い(角川書店)が発売。『戸塚啓のトツカ系サッカー』ライブドアより月500円で配信中!
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