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日本サッカーの方向性が映し出されたJ開幕戦のゴール傾向
投稿日時:2011年03月09日 22:10
[写真]=崎村太亮
3月5、6日に開幕したJ1リーグでは、8試合で21のゴールが生まれた。
ペナルティーエリア内からのシュートは、全体の61%にあたる13本だった。国際大会では70%前後が一般的だから、やや少ない印象がある。
ただ、ペナルティーエリア外から決まった8点のうち3つは直接FKで、倉田(C大阪)、遠藤(G大阪)、兵藤(横浜FM)の得点はエリア周辺だった。敵地で甲府を沈めた山本(磐田)の右足弾も、ミドルシュートと呼ぶにはわずかながら距離が近い。
ペナルティーエリア外からのロングシュートは、鹿島戦で李天秀(大宮)が決めた自身2点目ぐらいだ。Jリーグにおいても、ペナルティーエリア内かその周辺からの得点が多い、と言うことはできるだろう。中長距離から確実にワクを捕らえてくるシューターが日本人Jリーガーに少ないとも理解できるが、ショートパス主体でビルドアップをしていく日本サッカーの方向性を映し出すデータでもある。
大宮とホームで引き分けた鹿島は、24本のシュートを放っている。開幕戦では18チームで最多だ。ただ、流れの中でペナルティーエリア内から記録したシュートが、全体に占める割合はそこまで多くない。ゼロックススーパーカップから始まるシーズン序盤の3試合は、相手守備陣を崩しきれなかった印象を募らせる。
ゴールへ至る過程は、ダイレクトタッチによるものが15点を占める。タッチ数が多くなるほどGKやDFは予測をしやすくなり、シュートコースも狭まってしまうだけに、ダイレクトシュートがゴールにつながる確率はやはり高い。
2タッチ以上のシュートでは、矢島(川崎)のドリブルシュートが目を引く。左サイドからえぐり込むようにペナルティーエリア内へ持ち込み、実に9タッチ目でゴールへ流し込んだ。開幕戦にして、いきなりインパクト大の一撃である。前述した李天秀のゴールも、世界基準のスーパーミドルだった。
時間帯から得点を分析してみると、前半が4点、後半が17点である。後半の17点を15分刻みで細分化すると、46~60分が4点、61~75分が8点、76分から試合終了までが5点となる。76分以降の5点は、すべて同点弾か決勝点だ。残り15分からのゴールは、勝敗に直結することが分かる。優勝候補に挙げられる名古屋、G大阪、鹿島が、この時間帯に揃って得点をあげているのは示唆に富む。「粘り強さ」や「勝負強さ」といった形容詞は、この時間帯に仕事のできる選手がいるチームにこそふさわしい。フィジカルとメンタルが疲弊していくラスト15分をいかに戦い抜くのかが、勝敗に大きな影響を及ぼすのだ。
【戸塚啓】1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の 国際Aマッチは91年から取材し、2000年3月から189試合連続で取材中。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。著書には 『マリーシア(駆け引き)が日本のサッカーを強くする(光文社新書)』、『世界に一つだけの日本サッカー──日本サッカー改造論』(出版芸術社)、『新・ サッカー戦術論』(成美堂出版)、『覚醒せよ、日本人ストライカーたち』(朝日新聞出版)などがある。昨年12月に最新著書『世界基準サッカーの戦術と技術』(新星出版社)が発売。
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