写真・文●岡田康宏
9月12日から16日まで中野ザ・ポケットで舞台『オンナ、ひと憂。』が上演された。元モーニング娘。の久住小春が主演し、アイドル、タレントからモデルなど、女優を志す女性ばかりの出演者で構成されたこの舞台で、久住の妹役として舞台初出演を果たしたのが「夢みるアドレセンス」の小林玲(15)だ。
「夢みるアドレセンス」は、現役及びOGの「ピチレモン」モデルを中心に「国民的ハイパー女優」を育てることを目指して結成されたガールズユニット。昨年8月に第1回公演を行い、今年に入ってから定期公演が毎回前売りで完売となるなど、着実にファン層を広げつつある。
このコーナーではリーダーの荻野可鈴さん、仮面ライダーヒロイン役が決まった志田友美さんにインタビューをしてきたが、今回は初舞台を終えたばかりの小林玲さんに話を聞いた。
――舞台お疲れさまでした。こういう舞台は初めてですよね?
こういう本格的な舞台は初めてです。7月の下旬にオーディションがあったんですけど、そのあとすぐにワークショップがあって、8月に入ってからはずっと稽古があって。ワークショップで主にやったのは「即興」ですね。自分が生きてきた中で最高の日を演じろとか、最悪だった日を演じろとか。難しかったんですけど、夢アドで即興劇とかやっていたので、それはすごく役に立ったなと思います。
――そういった演技の稽古自体も、本格的にやるのは初めてですか?
はじめてですね。あんなにビシバシと言われるのも。でも、すごく勉強になったので、やってよかったなと思います。私は一番はモデルの仕事が好きで、演技はやれたらいいなくらいだったんですけど、先生の教えにすごく愛があって、それで演技を好きにさせてくれたというか、お芝居をやるのが楽しくなってきました。
――稽古では結構、きついこと言われました?
言われましたね。最初は本当に怖くて、ビビりながら稽古場に行っていたんですよ。朝起きて、やばい、胃が痛いみたいな感じで。本当にこれで最後までやっていけるのかなって。参加したメンバーみんなが思ったと思うんですね。でも、だんだん怒られるのも苦痛じゃなくなってきて。厳しいことを言われるんですけど、その子の悪いところを直してくれるために言ってくれているんだってことが分かるようになってからは、楽しくできるようになりました。先生は厳しいけれど、言っていることは正しいし、その言葉に愛があって、いい人だなって思いました。
――普段、あんまり怒られたりしない方ですか?
しないですね。普段からあんまり強く言われないようにしているつもりなので。だから、あんなに強く怒られたのは初めてっていうくらいでした。最初のうちは、先生に言われていることがどういうことかわからなくて。どうやって役に入っていくのかとか、わからないから。でも、どうしたらいいかわからないときに先生に言葉をかけてもらって、それからだんだん先生の言っていることとかが理解できるようになって、そこからは楽しくなりました。最初、理解ができない間は、何を怒られているのかもよくわからないんですよ。そのときはただ、怒られるのが怖いだけで全然楽しめなかったんですけど。自分が何をわかっていなかったのか、わからない部分がわかるようになってきてからは、どんどん楽しくなっていきました。
――演技をするとき、どういう部分を意識してやりましたか?
初めてなので、キャラの一本化を意識して、それが途切れないように意識しました。私は「若菜優」役をやらせていただいたんですけど、「優」はこのときどう思っていたんだろうとか、そういうことを常に考えながら演じるように気をつけました。
――久住小春さんが主役の「のぞみ」役で、小林さんは「のぞみ」の妹の「優」の役なんですよね。
のぞみとのやりとりが多いから、のぞみの気持もわかっていないといけないと思って、のぞみのセリフも家に帰って何度も読んで、理解できるようにはしました。台本は、めっちゃ読みました。怒られるのも怖いし、やるんだったら、しっかりとやれるところまではやりたいなと思ったので。
――「優」はどんな女の子ですか?
優は愛に飢えている子ですね。お母さんがいつものぞみお姉ちゃんばかり構っているから、お母さんからの愛情を受けたことがなくて。のぞみお姉ちゃんみたいになりたいと、いつも思っていたんだと思います。
――普段の自分自身と接点はありますか?
あるかはわからないですけど、今回の役を全部見たときに、自分がやるとすれば「優」だろうなというのはわかりました。愛情に飢えているわけではないですけど、優の気持ちも理解できる部分はありますし、まったく自分と違うというわけではなかったですね。
―― 一緒に演じたメンバーはどうでした?
めっちゃ仲が良かったです。私は最年少で、みんなお姉さんだったんですけど。わからないところとかも、みんなが優しく教えてくれたので、すっごい楽しい稽古場でした。出演者が全員女だからいろいろあるだろうって思われがちなんですけど、そういうのは全然なくて、全員が仲良しで稽古が終わった後にみんなでご飯を食べに行ったりとか、いろいろと勉強させていただくことも多かったです。人見知りなので、最初は全然入っていけなかったんですけど、その空間に慣れれば、自分からも話しかけにいけるし、ワイワイできるんですよ。だから、慣れるまでには時間はかかったかもしれないけれど、あとは全然、馴染みました。一緒にやっていたメンバーは、みんなで一つの目標にむかって頑張っていたので、全員を尊敬できますね。このチームに関われて良かったって、心の底から思えました。オーディションも受けてよかったと思うし、勉強になることばかりで、本当にやって良かったって。とくに演出助手の方にすごいお世話になって。発声から一緒に教えてくれて、毎日ずっといてくれて。だから、あのカンパニーの人たちには感謝しています。
――終わった後、脚本・演出の佐藤徹也さんにはなにか声をかけられました?
「このまま、女優続けろ」と言ってもらいました。それは本当に嬉しかったです。滅多に褒めてくれない監督なので、褒められたときは本当に嬉しいし。できたら、また演技の仕事やりたいなと。モデルの仕事も続けていきたいし、夢アドも頑張っていきたいんですけど、演技の仕事も、できることは全部頑張りたいと思います。
――もともとモデルとして仕事をしてきて、昨年から夢アドでアイドルとしても活動するようになったわけですよね。
夢アドをやるって聞いたとき、「えっ、私がアイドルやるの?」って、とりあえずびっくりしました。でも、夢アドって、アイドルだからってそういうキャラを作るわけじゃなくて、素の自分たちがそのまま出ちゃった感じだから、自然体でいられる空間です。そのままの自分でいられますね。アイドルっぽくしようと思ってもできないと思っているし、この顔でキャピキャピしてたら逆に気持ち悪いと思うので。だから、今までどおり、そのままの自分で出ていますね。こんなアイドルっぽくない私でも応援してくれる人がいるというのはありがたいなと思います。わたし、アイドルっぽくないですよね?
――まあ、わりとそうですね。
そういう自分でも、応援してくれるファンの人が出てきてくれたので、それはすごく嬉しいですね。こんなアイドルっぽくない私がアイドルをやっても、どうなんだろうって思っていたんですよ。でも、そういう私でも好きでいてくれるファンの人がいる。それがわかったので、やっていて良かったなと思います。夢アドのメンバーの中でも、私は自分に自信が持てなくて。こんな自分じゃダメだって、ずっと思っていて。でも、最近は応援してくれているファンの方たちのためにも頑張ろうって思えるようになりました。
――少しずつ自分に自信を持てるようになってきた?
中三のときはネガティブすぎてやばかったんですよ。でも、これじゃダメだと思って、自分に自信を持てるように頑張ってきて。舞台のときも監督に「お前は自信を持て」「もっと強気で来いよ」って言われて。だから自信を持つように、ネガティブになっちゃうこともあるんですけど、前よりはポジティブになれました。私はよく「ポジティブなネガティブ」って言われていて、自分なんてダメだって思うことも多いんですけど、でも絶対にここまでは行ってやるみたいな気持はずっと持っていたから。それを少し表に出せるようになったというか、ネガティブな部分に隠されていた自分の思いを多少は表に出せるようになったと思います。今までは、ここやばい、失敗しちゃうだろうなってすぐ思って、そういうところでネガティブだったんですけど、最近は、絶対に成功させてやろうとしか考えていないです。元々が負けず嫌いなので、それがどんどん表に出てくるようになったのだと思います。年齢を重ねるごとに、負けず嫌いな気持ちがどんどん増しているなと感じるので。
――夢アドの他のメンバーについて聞いてもいいですか。
じゃあまずは京佳ちゃん。夢アドをはじめたころは、ちょっとつんつんしている子なのかなと思ったんですよ。最初は大人っぽく振る舞おうとし過ぎていたのか、全然子供らしくなかったんです。だけど、夢アドをやっていくうちに、やっぱりこういうところが子供だよなっていうのが見えてきて、かわいいなと思うところが増えてきました。人懐っこくて、そういうところは末っ子だなって思います。自分でアイドルになりたいっていう思いにむかってすごく頑張っているから、ミスIDとかもメンバーみんなで応援していました。
あかりん(山田朱莉)はムードメーカーですね。一番元気でワーキャーしているし大阪弁だから、あかりんがいないときは静かだなって。その空気というか、一緒にいて安心する人ですね。あとはみんなに気を配っていて、とにかく優しい。思いやりがあるし、人を嫌いにならない子なんですよ。
ゆうみん(志田友美)は影ですごい頑張っている。友美は表にあまり出さないと思うんですよ。でも、すっごい頑張っていると思います。あんなに忙しいのに、レッスンのときには振りとかも覚えてくるし。ちょっとやることは爆弾みたいな感じですけど、影の努力家で、頑張り屋さんだなって思います。あとは弟や妹がいるから、やっぱりお姉ちゃんなんだなって思う時があります。私が大きな荷物を持っていたりすると、持ってくれたり。あかりんもそういうところありますね。夢アドのメンバーはみんな優しいです。
可鈴ちゃん(荻野可鈴)は頭の回転が早い。わからないところとか、すぐに教えてくれるし。今日のレッスンでも、みんなは何回かやっているところなんですけど、私は初めてのダンスがあって、教えてもらったんですけど、改めてメンバーの優しさに助けられました。可鈴ちゃんがいないとまとまらないなって、すごく思います。夢アドがすごく好きで、一人ひとりみんなのことを思ってくれているし、リーダーは可鈴ちゃんじゃないとなというのは思います。
夢アドのメンバーは一人ひとり個性が強すぎるんですけど、お互いがお互いを理解し合えているから、なんだかんだでまとまっていますね。喧嘩することもないし、お互い足りない部分は指摘し合えるし、悪いところがあったらお互いに良くしていこうというのがあるから、ちゃんと言い合えるので。
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――夢アドの活動をするようになって変わった部分はありますか?
前より明るくなったねって言われます。前は人との接し方がわからなかったんですよ。ファンの方と話すときも話すのが上手じゃないから何を話していいかわからないし、しゃべりも全然できないし、トークなんてもってのほか、何もしゃべれないしだったんですけど、夢アドをやるようにから変わったと思います。人見知りもあまりしなくはなりました。初めて会った人は、ちょっとはなるけれど、前よりかは全然。一時期は、スタッフさんも暗すぎてどうしようって思っていた時期もあったみたいで、本当に暗かったんですよ。心を開くまでに時間がかかるんだと思います。
私、普通にしていても怖い顔に見られたり、よく黙っていて話しかけづらいオーラがでているって言われるんですけど、むしろ話しかけに来て欲しいんですよ。自分から話しかけられないから待っているんですけど、まったく逆に見えちゃっていて。だから、話しかけにきてもらえたら、それには全然応えますよって。話しかけてほしくないオーラじゃなくて、自分からしたら話しかけて欲しいオーラなんですけど、それが上手く伝えられなくて。普通の顔しているのに、怒っているとか、ドヤ顔とか言われちゃうことがあるから。でも全然そんなことないんですよっていうのは、わかってほしいですね。むしろ話しかけに来て欲しいんです。見た目的にクールだとか、話しかけたら怖いんじゃないかとか思われるんですけど、そんなことないし、むしろカモンなので。なかなかそれを上手く伝えられないんですけど、そこはわかってほしいなと思います。
――これからこういう活動をしていきたいというのはありますか?
私の将来の夢はトップモデルになって世界で活躍できる人になりたいんですよ。そうなるために一つ一つ目の前にあるお仕事を丁寧に一生懸命やっていけたらなと思います。モデルの仕事も大変なときもありますけど、自分が撮られているのがすごい楽しいので。ポージングの研究はいつもしていますし、メイクとか美容とかも意識しています。今、だらしない生活をしていると将来に絶対響くと思うし、本当にキレイな人って長年気をつけていると思うから、そういうふうになりたいなと思って。でも女優さんもこの舞台をやって興味がわき始めました。演技をやっていてモデルにマイナスになることはないし、むしろ表現力がつくと思うので。いつか努力が報われると信じて頑張っています。
●小林玲 (Kobayashi_Rei) on Twitter
https://twitter.com/Kobayashi_Rei
●夢みるアドレセンス公式ウェブサイト
http://yumeado.com/