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【土屋雅史氏のJ2展望】かつてダービーで輝いた群馬の松下に期待…町田vs横浜FCはドロー決着に終わると予想

2017.04.14

 ここまで1分6敗とJ2の中で唯一白星のない群馬。この厳しい状況で迎えるのは、2勝1分4敗の17位とこちらもやや苦しんでいる水戸と激突する“北関東ダービー”ですが、今だからこそ思い出しておきたい一戦が、このダービーの歴史には存在しています。

 2008年5月21日。正田醤油スタジアム群馬。まだザスパ草津という名前だったチームは当時、2005年のJ2参入以降で一度も“連勝”がありませんでした。それまでにトライした数は23回。そのいずれも2試合連続の白星を引き寄せることができず、この日は実に24回目のチャレンジだったのです。


 試合は今もチームに在籍している松下裕樹のスーパーミドルで先制したものの、前半の内にオウンゴールで追い付かれるという最悪の展開。後半は草津が押し気味に進めるも勝ち越しゴールは遠く、気付けば残された時間はアディショナルタイムのみ。スタジアムの誰もが24回目の落胆を覚悟し掛けた時、チームを救う奇跡的な一撃が飛び出します。ラストプレーもラストプレー。相手のクリアが目の前に転がってきた松下が右足を振り抜くと、エリア内に密集していたディフェンダーの間をことごとくすり抜けたボールは、そのままゴールネットへ。沸騰したスタンドに涙する殊勲のキャプテン。クラブ史上初めてJリーグで飾った“連勝”。あの日のスタジアムの雰囲気と、松下の涙は今でも鮮明に記憶しています。

 今シーズンは開幕から2試合こそスタメンで出場したものの、以降は1試合に出場したのみで、ここ3試合はベンチから90分間を見守っている松下ですが、9年前の“北関東ダービー”という因縁を考えても、こういう苦境こそ地元出身のベテランの力が必要になってくるはずです。普通に考えればこのゲームも「0」か「2」が予想されることは否めませんが、個人的には松下のスタメン出場という条件付きで、あえて群馬が意地を見せるという予想の「1」で勝負したいと思います。

 現在は4勝2分1敗の4位。失点数も東京V、松本と並んで最少の4失点と堅守が際立つ横浜FC。そんなチームの最終ラインを束ねる活躍を披露し続け、中田仁司監督も「彼の存在は大きいですね」とその実力を認めているのが、日本でのプレーも7シーズン目を迎えるカルフィン・ヨン・ア・ピンです。

 現在は小林祐希がプレーするヘーレンフェーンや、かつて太田宏介やハーフナー・マイク、安田理大が在籍していたフィテッセなどでプレーしていたヨン・ア・ピンは、ロイ・マカーイやライアン・バベルらと共に北京五輪にもオランダ代表として参加しており、反町康治監督率いる日本戦でもフル出場を果たして勝利に貢献。アルゼンチンとの準々決勝でもスタメンとしてリオネル・メッシやセルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディ・マリアらと対峙し、惜しくも延長で敗れたものの、貴重な国際経験を積んでいる選手でもあります。

 2011年に清水へ加入してJリーグデビューを飾ると、そこから5シーズンに渡ってプレーした後、昨シーズンは昇格組の町田へ開幕直前に加入。3月末からは定位置を掴み、7位という好結果の立役者として1シーズンを戦い抜きましたが、今シーズンからは横浜FCへと完全移籍。DAZNニューイヤーカップの段階で、既にチームメイトからも「ラインを高く保てるので彼の加入は大きい」と高評価を得ていたヨン・ア・ピンは、シーズン開幕後もここまでの7試合にフル出場して、好調のチームを牽引。「日本語もある程度わかっているので、日本語でも話をしてくれますし、プロとしての勝利に向かう闘争心という部分で、後ろから鼓舞してくれるので、西河選手もそれに引っ張られて、ディフェンスラインというのは気持ちが1つになれるんじゃないかなと思っています」と中田監督も、完封勝利を飾った京都戦後に厚い信頼を口にしていました。

 少し前述したように今節の相手は、彼にとって昨シーズンの1年間在籍していた古巣の町田。前節は1点ビハインドの状況で10人になりながら、そこから中島裕希が驚異のハットトリックを記録しての逆転勝ちと、最高の上り調子でこのゲームを迎えることは間違いありません。好ゲームが予想される一戦は、ヨン・ア・ピンを中心にした横浜FC守備陣の安定感も考慮しつつ、ホームチームの勢いも加味すると、引き分けの「0」に落ち着く気がしています。

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第8節
2017年4月15日(土)15時キックオフ
ザスパクサツ群馬vs水戸ホーリーホック(正田醤油スタジアム群馬)

■明治安田生命J2リーグ第8節
2017年4月15日(土)15時キックオフ
FC町田ゼルビアvs横浜FC(町田市立陸上競技場)

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